「開業届って難しそう」「税務署に行かないといけないの?」
フリーランスに転身する際、こんな不安を持つ方は多いと思います。私もそうでした。
結論から言うと、freeeを使えば開業届と青色申告承認申請書の両方をパソコン上で作成・提出まで完結できます。税務署に行く必要はなく、私が実際にかかった時間は、入力から提出まで15分ほどでした。
この記事では、実際にfreeeで開業届を提出した経験をもとに、手順・必要書類・提出期限・よくある疑問をまとめて解説します。
開業届とは何か|フリーランスが提出すべき理由
開業届の正式名称と提出先
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。新たに事業を始めたことを税務署に届け出るための書類で、提出先は自分の住所を管轄する税務署です。提出期限は事業を開始した日から1ヶ月以内です。
法律上、開業届の提出は義務です。ただし、提出しなかった場合の罰則は現状ありません。とはいえ、フリーランスとして活動するなら提出しておくべき理由があります。
開業届を出す理由
1つ目は、青色申告を選択するために必要だからです。青色申告(最大65万円の所得控除)を利用するには、開業届と青色申告承認申請書の両方を提出する必要があります。提出しなければ、確定申告は白色申告しか選べず、控除額が大きく下がります。
2つ目は、屋号付きの銀行口座を開設できるようになるからです。「○○事務所」「○○マーケティング」のような屋号でビジネス用の口座を作る際に、開業届の控えが必要になるケースがあります。クライアントへの請求書に屋号を記載したい場合も、開業届を出しておく方がスムーズです。
3つ目は、補助金・助成金などの公的支援を受けやすくなるからです。国や自治体の支援制度に申請する際、事業を行っている証拠書類として開業届の控えが求められるケースがあります。
4つ目は、小規模企業共済に加入できるからです。廃業・退職時に備えて掛金を積み立てる制度で、掛金は所得控除の対象になります。確定申告をまだ行っていない開業直後でも、開業届の控えで加入できます。
青色申告承認申請書とは何か|白色申告との違い
青色申告と白色申告の違い
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。最大の違いは、青色申告だけに認められている「青色申告特別控除」の有無です。
白色申告は記帳方法がシンプルで、事前の申請も不要です。ただし、青色申告のような特別控除はありません。
青色申告は、事前に「青色申告承認申請書」を提出したうえで、決められた方法で記帳する必要があります。控除額は記帳方法と申告方法によって次のように変わります。
- 複式簿記で記帳し、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行う場合:最大65万円
- 複式簿記で記帳するが、紙で申告するなど上記の要件を満たさない場合:55万円
- 簡易簿記(単式簿記)で記帳する場合:10万円
この記事の手順では、freeeを使ってe-Taxで電子申告まで完結させます。会計ソフトを使えば複式簿記での記帳も自動ででき、65万円控除の要件を満たしやすくなります。
青色申告特別控除は、控除額がそのまま課税所得を圧縮するため、白色申告との差は年間の税負担として小さくありません。実際の節税額は適用される税率によって変わりますが、65万円の控除なら、所得税と住民税を合わせておおむね10万円前後から十数万円規模になることもあります。会計ソフトを使えば複式簿記での記帳は自動でできるため、フリーランスとして活動するなら必ず青色申告を選ぶべきです。
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告承認申請書には提出期限があります。これが最も注意すべきポイントです。
提出期限は「事業開始日から2ヶ月以内」または「その年の1月1日から3月15日まで」のいずれか早い方です。この期限を過ぎると、その年は白色申告しか選べなくなります。うっかり後回しにして期限を過ぎてしまったという声が多いため、開業届と同時に提出することを強くお勧めします。
freeeで開業届・青色申告申請書を作成・提出する手順
事前に準備するもの
手続きを始める前に、以下を手元に用意しておきましょう。
- マイナンバーカード(電子提出の場合)またはマイナンバーが分かるもの
- 印鑑(郵送・持参する場合)
- freeeのアカウント(無料で作成可能)
マイナンバーカードを持っていて、スマートフォンまたはICカードリーダーがあれば、e-Tax(電子申告)で提出まで完結できます。マイナンバーカードがない場合は、書類を印刷して郵送または税務署への持参で提出します。
手順① freeeにアクセスして「開業freee」を開く
freeeには開業届の作成を専用でサポートする機能があります。freeeのトップページまたはメニューからアクセスできます。まだfreeeに登録していない方でも、書類作成だけなら無料で利用できます。
手順② ガイダンスに従って必要事項を入力する
開業freeeの画面では、以下の項目を順番に入力していきます。
- 氏名・住所・生年月日
- 屋号(任意。なくても提出可能)
- 開業日(実際に事業を開始した日)
- 職業・事業の概要
- 青色申告の選択(「する」を選択)
- 事業所の所在地(自宅兼事務所の場合は自宅住所)
入力項目に沿って進んでいくだけで、開業届と青色申告承認申請書の両方が自動で作成されます。私が実際に入力したときは、全項目の入力に10分もかかりませんでした。

手順③ 作成された書類を確認する
入力完了後、プレビューで書類の内容を確認できます。住所・氏名・開業日などに誤りがないかを確認しましょう。
特に「開業日」は後から変更できないため、正確に入力することが重要です。実態に合った日付(実際に事業を開始した日)を入力してください。
手順④ 提出方法を選択する
書類の確認が終わったら、提出方法を選択します。
電子提出(e-Tax)を選ぶ場合は、マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)が必要です。freeeの画面上でe-Taxと連携し、そのまま電子提出まで完了できます。税務署に行く必要がなく、受付番号もその場で確認できます。
郵送・持参を選ぶ場合は、書類を印刷して必要箇所に押印・署名のうえ、管轄の税務署に持参または郵送します。郵送の場合は、控えの返送を受けるために返信用封筒(自分の住所を書いたもの・切手貼付)を同封します。
私はe-Taxで電子提出しました。提出自体は5分ほどで完了しました。
手順⑤ 提出完了・控えの保管
電子提出の場合は、提出完了後に受付番号が表示されます。この番号を記録しておきましょう。
開業届の「控え」は、屋号付き銀行口座の開設・補助金の申請など、後から必要になる場面があります。電子提出した場合はfreeeのマイページから控えをダウンロード・印刷できます。大切に保管しておきましょう。
ここまで読んで「思っていたより簡単そうだ」と感じたら、実際に手を動かしてみるのが一番です。freeeの開業書類作成は無料で、案内に沿って入力するだけで開業届と青色申告承認申請書がまとめて完成します。
提出時に注意すべきポイント
開業日はいつにすればいいか
開業日は「実際に事業を開始した日」が原則です。厳密には、初めてクライアントと契約した日・初めて報酬を受け取った日などが該当しますが、フリーランス転身の準備を始めた日や、退職日の翌日を開業日とするケースも多くあります。
開業日を過去にさかのぼって設定することも可能ですが、あまり古い日付にすると「なぜ今頃届出を出すのか」という疑問が生じることがあります。実態に合った自然な日付を選ぶことをお勧めします。
失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取る予定がある人は提出タイミングに注意
会社を退職してフリーランスに転身する場合、退職後に雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)の受給を予定している方は、開業届を出すタイミングに注意が必要です。
基本手当は「働く意思と能力があるのに職に就けない人」を支えるための制度です。開業届を提出すると、原則として「自ら事業を開始した」とみなされ、基本手当の対象外になります。受給中に開業届を出した場合や、受給しながら事業を始めていた場合は、不正受給と判断されるおそれもあります。
失業給付を受け取ってから開業したい場合は、原則として受給が終わってから開業届を出す、という順番になります。一方で、退職後すぐに事業を始める予定で失業給付を受け取らないのであれば、この点を気にする必要はありません。なお、一定の要件を満たすと、開業した場合でも「再就職手当」を受け取れるケースがあります。適用条件が細かいため、自分が該当しそうな場合は、自己判断せずハローワークに確認することをお勧めします。
屋号は必須ではないが設定しておくと便利
開業届に屋号の記載は任意です。なくても提出できますし、後から変更する場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」を再提出することで変更できます。
ただし、屋号があることで請求書やビジネスカードに屋号を記載できる、屋号付き口座を開設できるというメリットがあります。将来的に使いたい屋号がある場合は、最初の提出時に記載しておく方が手間が少なくなります。
提出後にすべきこと
開業届と青色申告承認申請書の提出が完了したら、続けて以下を進めましょう。
- 会計ソフト(freee等)の本格的な設定開始
- 事業用銀行口座・クレジットカードとの連携
- 社会保険の切り替え手続き(国民健康保険または任意継続)
- 国民年金への切り替え
freeeの詳しい使用感や他社との比較はこちら。
→freee・マネーフォワード・弥生の会計ソフト比較
退職後の健康保険(国保・任意継続)と国民年金の切り替え、フリーランスが検討したい民間保険の選び方は、こちらでまとめています。
→フリーランスが入るべき保険まとめ
まとめ
開業届と青色申告承認申請書の提出について、要点を整理します。
- 開業届は提出しないと青色申告が選べない。フリーランスなら必ず提出する。
- 青色申告承認申請書の提出期限は「事業開始日から2ヶ月以内」または「3月15日まで」の早い方。開業届と同時に出す。
- 青色申告特別控除は、複式簿記+e-Tax(または電子帳簿保存)で最大65万円、要件を満たさないと55万円、簡易簿記では10万円。白色申告に特別控除はない。
- 退職後に失業給付を受け取る予定がある人は、開業届の提出タイミングに注意する。
- freeeの開業届作成機能を使えば、入力・提出あわせて15分ほど(入力10分・提出5分程度)で完了できる。
- 電子提出(e-Tax)ならマイナンバーカードがあれば税務署に行かなくて済む。
- 提出後の控えは必ず保管する。
フリーランスの手続きの中で、開業届の提出は最もハードルが低い部類です。freeeを使えば「難しいこと」は何もありません。転身を決めたら最初にやることのひとつとして、ぜひ早めに取り組んでください。
転身前の準備全体については、こちらをご覧ください。
→フリーランスになるための準備リスト【転身前にやること全まとめ】
よくある質問(FAQ)
- 開業届を出さないとどうなりますか?
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現状では提出しなかった場合の罰則はありません。ただし、青色申告の選択ができないため、最大65万円の控除が受けられなくなります。また、屋号付き口座の開設・補助金の申請などで不都合が生じることがあります。提出しない理由がないため、転身と同時に提出することをお勧めします。
- 副業でも開業届を出した方がいいですか?
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副業の所得(収入から経費を差し引いた額)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になるため、開業届を出して青色申告を選択することをお勧めします。ただし、給与収入との兼ね合いもあるため、判断に迷う場合は税理士に相談することをお勧めします。
- 開業届の提出期限を過ぎてしまった場合は?
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開業届自体は期限を過ぎても提出できます(罰則なし)。ただし、青色申告承認申請書は「事業開始日から2ヶ月以内」または「その年の3月15日まで」のいずれか早い期限があるため、この期限を過ぎると当年の青色申告が選べなくなります。翌年からは青色申告を選択できるため、気づいた時点で両方の書類を提出しましょう。
- freeeを使わずに自分で書類を作ることはできますか?
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可能です。国税庁のウェブサイトからPDFをダウンロードして手書きで作成・提出することもできます。ただしfreeeを使えば入力ガイドに従うだけで書類が完成するため、慣れていない方には圧倒的にfreeeが楽です。

