フリーランスの請求書の作り方|必要な項目・書き方と無料で作る3つの方法

当ページのリンクには広告が含まれています。
フリーランスの請求書の作り方

フリーランスになって初めて請求書を作るとき、意外と手が止まります。書式が決まっているわけではないので、何をどこまで書けばいいのか、消費税はどう載せるのか、と調べるところから始まるからです。

私自身、普段はエージェント経由の案件が中心なので、請求書はエージェント側のシステムで自動的に作られます。自分で一から作る場面は多くありません。ただ、直請けを増やそうとすると避けて通れないので、必要な項目を調べ、使っている会計ソフト(freee)で実際に1枚作ってみました。

押さえる項目は8つほどで、無料のテンプレートや無料の作成サービスで十分に作れます。迷いやすいのは消費税とインボイス番号の扱いくらいで、ここだけ先に整理しておけば、あとは迷いません。

※制度と料金は2026年8月時点のものです。

目次

請求書に必要な項目

請求書に決まった様式はない――入れるべきは8項目

請求書には法律で決まった様式がありません。手書きでもExcelでも、必要なことが書いてあれば請求書として成立します。だからテンプレートを選ぶときも、見た目より「項目が揃っているか」で見れば十分です。

最低限入れる項目は次の8つです。

  • 宛名(取引先の会社名・部署名・担当者名。「御中」「様」の使い分けに注意)
  • 発行者の情報(自分の屋号または氏名・住所・連絡先)
  • 発行日
  • 請求書番号(連番。法律上の義務ではないが、管理と問い合わせ対応のためにほぼ必須)
  • 取引内容(品目・数量・単価。「〇〇記事執筆 1本」のように、先方が見て分かる粒度で)
  • 金額(税抜額・消費税額・税込合計を分けて記載)
  • 振込先(銀行名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義。振込手数料をどちらが負担するかも一言)
  • 支払期限(契約で決めた支払サイト=締め日から支払日までの期間に合わせる。例:「〇月末日までにお振込みください」)

印鑑は法律で求められているものではなく、PDFで送る請求書に押印がなくても通用します。取引先の社内ルールで求められた場合は、認印を押した画像やPDF上の電子印で対応すれば問題ないと思います。

インボイス登録している人が足す項目

適格請求書発行事業者(インボイス制度に登録した事業者)として請求書を出す場合は、上の8項目に加えて、次を記載します。

  • 登録番号(Tから始まる13桁)
  • 税率ごとに区分した合計金額と、適用税率(10%・軽減8%)
  • 税率ごとの消費税額

国税庁が定める適格請求書の記載事項は6つですが、発行者名・取引日・取引内容・宛名は8項目と重なるので、実質的に足すのは「登録番号」と「税率ごとの内訳」だけです。登録していない人は、これらを書いてはいけません。

消費税とインボイス番号はどう書く?

消費税――税抜・税込を分けて書く。免税事業者でも請求できる

消費税で迷いやすいのは、契約で決めた金額が税抜なのか税込なのか、そして請求書に消費税を別立てで書くのかどうか、というあたりだと思います。まず、金額を伝えるときも請求書に書くときも「税抜〇円+消費税〇円=税込〇円」の形にしておくのが基本で、免税事業者(消費税の納税義務がない事業者)でも消費税を上乗せして請求できます。契約時に「10万円で」とだけ決まっていて税抜か税込かが曖昧なら、請求前に一言確認しておくと、入金額でもめません。

その一方で、取引先が課税事業者の場合、免税事業者への支払いは仕入税額控除(売上の消費税から仕入の消費税を差し引く仕組み)に制限がかかります。2026年9月30日までは支払額に含まれる消費税相当額の80%、10月1日からは70%が控除できる経過措置が続きますが、この割合は段階的に下がっていきます。取引先によっては「登録しないなら消費税分を調整してほしい」と言われることもあるので、そこは請求書の書き方ではなく、契約段階の交渉事です。

インボイス制度に登録すべきかどうかは、別の記事で2割特例や「登録しない選択」を含めてまとめています。
インボイス、個人事業主は登録すべき?2割特例と『登録しない選択』を整理する

インボイス番号――登録している人だけが書く

これは迷う余地がありません。登録番号を持っている人はインボイス登録している人が足す項目で挙げたとおりに書く、持っていない人は書かない、それだけです。取引先から「登録番号を教えてください」と聞かれたときに、未登録なら「登録していません」と答えれば済みます。番号欄が空欄のテンプレートを使っていても、空欄のままで問題ありません。

源泉徴収の欄は、取引先から言われたら足せばいい

源泉徴収は、報酬を支払う側があらかじめ所得税を差し引いて納める仕組みで、義務があるのは取引先のほうです。対象になる報酬は所得税法で決まっていて、原稿料・講演料・デザイン料などは対象、Web制作やマーケティング支援、コンサルティングといった業務は多くの場合対象外です。対象かどうかは取引先が判断することなので、こちらが最初から意識しておく必要はなく、「源泉徴収の欄を入れてほしい」と言われたら対応する、で足ります。

対応するときの税率は、1回の支払金額が100万円以下なら10.21%、超える部分は20.42%です。請求書で報酬額と消費税額を分けて書いておけば、税抜の報酬額だけが対象になります(税込一括で書くと消費税分にも掛かって手取りが減る)。「源泉徴収税額」の行を設けて金額を書き、税込合計からその額を引いた「差引請求額」まで示せば完成です。

無料で作る3つの方法(テンプレート/無料サービス/会計ソフト)

方法1:無料テンプレート(Excel・Wordなど)

いちばん手軽なのが、無料で配布されているテンプレートを落として使う方法です。弥生・freee・マネーフォワードといった会計ソフト各社が、Excel形式やWord形式のテンプレートを無料で公開していて、請求書に必要な項目で挙げた8項目やインボイス対応の欄はひととおり揃っています。ダウンロードして自分の情報を埋め、PDFに書き出してメールで送れば完成です。

手軽な分、いくつかの管理は自分で持つことになります。請求書番号の連番、控えの保存、源泉徴収や消費税の計算、支払期限の管理はすべて手作業で、月に数枚なら苦になりませんが、取引先が増えると「どれを送ったか」が分からなくなりやすい方法でもあります。

方法2:無料の請求書作成サービス(Misoca・freee請求書など)

ブラウザ上で請求書を作って、そのままPDF出力やメール送信ができるサービスがあり、無料で使えるものがあります。代表的なのは、弥生のMisoca(無料プランは請求書の作成が月10通まで。見積書・納品書・領収書は無制限)と、freee請求書(基本機能が無料)です。どちらもインボイス制度と電子帳簿保存法に対応していて、登録番号を一度設定すれば毎回自動で入り、作った請求書は控えとしてサービス上に残ります。

テンプレートとの違いは、連番・控え・取引先情報を覚えておいてくれることと、見積書から請求書への変換のように書類が連鎖することです。「月に数枚だが毎月ある」という人には、テンプレートより結果的に手間が少なくなります。

方法3:使っている会計ソフトの請求書機能

すでに会計ソフトを使って帳簿をつけているなら、その請求書機能で作るのが最短です。請求書を発行した時点で売上(売掛金)が帳簿に計上され、入金があると自動で消し込まれる(入金済みとして処理される)ので、請求から確定申告までが一本でつながります。会計ソフトの選び方は別記事にまとめています。
freee・マネーフォワード・弥生を比較|自分に合う会計ソフトの選び方

どれを選ぶ?――月の枚数と会計連携で決まる

テンプレート無料の作成サービス会計ソフトの請求書機能
費用無料無料(枚数上限あり)会計ソフトの利用料内
連番・控えの管理手作業自動自動
源泉・消費税の計算自分で計算自動計算に対応自動計算に対応
帳簿との連携なし連携機能あり(別設定)発行と同時に売上計上
向いている人年に数枚毎月数枚・会計ソフト未導入すでに会計ソフトを使っている

判断は月の枚数と、会計ソフトを使っているかどうかの2軸で決まります。年に数枚ならテンプレートで十分、毎月数枚あるなら無料の作成サービス、すでに会計ソフトを使っているならその請求書機能、が目安です。

どの方法でも共通するのが控えの保存です。PDFをメールで送った請求書は電子取引にあたるので、控えも電子データのまま保存します(電子帳簿保存法)。保存期間は個人事業主で原則5年、青色申告なら7年です。テンプレートで作る場合は、送ったPDFを年度ごとのフォルダに残しておくだけで足ります。

会計ソフト・Misocaで作ると何がラクか

freeeで1枚作ってみて感じたこと

私が使っている会計ソフトはfreeeで、請求書機能を使って実際に1枚作りました。手順は、取引先を登録して、請求書の作成画面で発行日・支払期限・品目・単価を入れる、それだけです。特に難しいと感じた場面はありませんでした。

ラクだと感じたのは、自分で覚えていなくていい項目が多いことです。登録番号は事業所設定に入れておけば毎回自動で載り、税抜・消費税・税込の内訳と請求書番号は自動で計算・採番されます。振込先も定型文として設定しておけば入力不要です。作った請求書はPDFにも落とせますし、そのままメール送信もできます。

もう一つ、請求書を作った瞬間に売掛金として帳簿に載るのは、会計ソフトで作る場合だけの利点です。入金があれば銀行明細と突き合わせて消し込みの提案が出るので、「入金されたか」を別のリストで追わなくて済みます。

なお、freeeの会計ソフト自体は有料プランで使っています。請求書だけを無料で作りたい場合は、前述のfreee請求書(無料)が別に用意されています。

請求書だけを軽く済ませたいならMisoca

会計ソフトはまだ入れていない、請求書だけ無料でちゃんとしたものを作りたい、という人には、弥生のMisocaが選択肢になります。私は使っていないので公式情報にもとづく紹介ですが、無料プランで請求書が月10通まで作れて、見積書・納品書・領収書は無制限、見積書から請求書への変換や、源泉徴収税額の自動計算にも対応しています。会計ソフトとの連携は弥生だけでなくfreee・マネーフォワードにも対応しているので、あとから会計ソフトを入れても乗り換えに困りません。

無料プランで使えないのは、請求書の郵送代行や複数人での利用、電話サポートあたりです。月11通以上を作るならプラン15(月額880円・税抜)以上になりますが、フリーランスの直請けなら無料枠で足りるケースがほとんどだと思います。

▼ 会計ソフトなしで、請求書だけ無料で作り始めたい人向け

エージェント経由・クラウドソーシング経由なら、そもそも作らないことが多い

フリーランスエージェント経由の案件やクラウドソーシング経由の案件では、多くの場合、自分で請求書を作りません。エージェントでは作業報告を出すと先方のシステムが請求書を生成する方式や、支払側が支払通知書(仕入明細書)を発行してこちらが確認する方式が一般的で、クラウドソーシングでもプラットフォームが代理発行、あるいはシステム上で自動生成する仕組みになっています。

だからこそ、直請けや顧問の仕事を増やし始めたときに、初めて「自分で作る」場面が来ます。契約時に確認しておくとよいのは、請求書を作るのがどちらか、締め日と支払サイト、源泉徴収の有無、登録番号が必要か、の4点です。エージェントによっては受注者側に請求書の提出を求めるところもあるので、「エージェント経由なら不要」と決めつけず、案件ごとに確認しておくと安心です。

契約書の見方は業務委託契約の記事に、直請けを育てるときの土俵の考え方は年齢の記事に書いています。
業務委託契約書を結ぶ前のチェックポイント
フリーランスに年齢は関係ある?

最初の1枚さえ作れば、あとはラクになる

請求書は、8つの項目が揃っていれば書式は問われません。迷いやすいのは消費税とインボイス番号で、消費税は「税抜・税込を分けて書く」、登録番号は「登録した人だけ書く」と決めてしまえば迷いは消えます。源泉徴収は取引先から言われたときに対応すれば十分です。

作る手段は、年に数枚なら無料テンプレート、毎月数枚なら無料の作成サービス、会計ソフトを使っているならその請求書機能。どれでも無料で始められて、控えの保存だけ忘れなければ十分です。

1枚目を作ってしまえば、2枚目からは前回の複製で済みます。手が止まっている段階がいちばん時間を食うので、まずはテンプレートか無料サービスで1枚作ってみるのが早道です。

▼ まず1枚、無料で作ってみたい人向け

請求まわり以外の準備は、転身前後にやることをまとめたリストと、開業届の実体験記事にあります。
フリーランス転身前にやっておくべき準備リスト
フリーランスの開業届・青色申告申請書を自分でやってみた

よくある質問

請求書に印鑑は必要ですか?

法律で押印が求められているわけではないので、なくても請求書として通用します。取引先によっては社内ルールで求められることがあるので、その場合は認印や電子印で対応すれば問題ないと思います。

請求書番号は必ず付けないといけませんか?

法律上の義務ではありません。ただ、連番を振っておくと「どの請求書か」の問い合わせに答えやすく、控えの管理もしやすいので、実務上はほぼ必須と考えたほうがよいです。

源泉徴収の欄はどう書けばいいですか?

取引先から求められた場合に、税抜の報酬額に10.21%(100万円超の部分は20.42%)を掛けた金額を「源泉徴収税額」として記載し、税込合計からその額を引いた「差引請求額」まで示します。対象かどうかは支払側が判断するので、求められてから対応すれば十分です。

免税事業者でも消費税を請求していいですか?

請求できます。消費税は取引価格の一部として上乗せするもので、免税事業者が受け取ることを禁じるルールはありません。ただし取引先が課税事業者の場合は控除に制限(2026年10月からは70%)があるので、金額の扱いは契約時に取引先と話し合っておくのが確実です。

送った請求書の控えはどう保存しますか?

PDFをメールで送った場合は電子取引にあたるので、控えも電子データのまま保存します。個人事業主の保存期間は原則5年、青色申告なら7年です。作成サービスや会計ソフトで作れば自動で残り、テンプレートの場合は年度ごとのフォルダにPDFを残しておけば足ります。

この記事を書いた人

会社員からフリーランスに転身したアラフィフ。Webマーケティングとディレクションを軸に、ひとりで働いています。
「会社を出ても、なんとかなる」を、きれいごと抜きの実体験で発信中。使ってよかったツールも、つまずいた失敗も、そのまま書いています。

目次